第20回日本映画祭「ニッポン・コネクション」 オンライン

今年で第20周年を迎えるニッポン・コネクション映画祭は、6月9日から14日までの開催となります。 6日間に亘り、今年はプログラムをオンラインで提供し、日本からの最新映画から時代を越えた傑作まで鑑賞することができます。70本以上の長編・短編映画を含め、ニッポン・コネクション・オンラインは日本映画の幅広い側面を皆さまにお届けします。 動画プラットフォームVimeoにて、ニッポン・オン・デマンドと名付け、映画祭期間中、映画を24時間レンタルして鑑賞することができます。 今年、直接参加できない数多くの日本の映画人たちが、ビデオメッセージ、パネルディスカッション、ライブ中継などで観客と交流します。
また、デジタルの催し物部門「ニッポン・コネクテッド」では、映画に加えて、ワークショップ、講演会、パフォーマンス、コンサートなど、日本の 多面的な文化に触れることができます。 その他、バーチャル・マーケットでは、日本に関連する様々な出店を予定しています。

上映作品ハイライト

ニッポン・コネクション・オンラインでは数多くの優れた日本映画作品が上映されます。昨年カンヌ国際映画祭でプレミア上映が行われた、ヴェルナー・ヘルツォーク監督のドキュメンタリードラマ『ファミリーロマンス社』もその一つです。現実とフィクションを行き来しながら、ヘルツォーク監督は顧客の依頼に応じて家族を派遣する、実在する東京の代行サービスを例に日本の「レンタル家族」というテーマを扱います。 大林宣彦監督の遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は戦争の歴史をたどったドラマです。3人の若者が映画館から1945年原爆投下前夜の広島にタイムスリップします。SABU監督の最新の映画『ダンシング・マリー』では、初主演のEXILE NAOTOがダンスホールの解体を担当する際に幽霊退治に巻き込まれる市役所職員を演じます。ジャンルの枠にはまらないこの作品は、コメディー、ホラー、ヤクザアクションの枠を自由に動きます。内藤瑛亮監督の映画『許された子どもたち』では、少年犯罪というテーマを扱い、加害者と被害者の境界線の曖昧さを映し出します。また、今年は20周年を記念して、ベスト・オブ・ニッポン・コネクションにおいて過去の映画祭プログラムのハイライトをご覧いただけます。

FEMALE FUTURES? ー 日本における新たな女性像

文化基金カルチャーファンド・フランクフルト・ライン・マインの後援を受け、今映画祭の重点テーマを「FEMALE FUTURES? ー 日本における新たな女性像」とし、多くの上映作品が現在の日本映画における女性の役割に焦点を当てます。三島有紀子監督のドラマ『Red』では伝統的なジェンダーの社会的役割を問い、大九明子監督のラブコメディ『甘いお酒でうがい』では、好感の持てる40代の主人公を描きます。特に、ドキュメンタリー映画での女性の活躍は目を離せません。吉峯美和監督の『この星は、私の星じゃない』では、1970年代から日本におけるウーマン・リブ運動の先駆者として知られるフェミニストであり作家の田中美津氏を追っています。本年第1回大島渚賞を受賞した小田香監督の実験的ドキュメンタリー映画『セノーテ』ではメキシコ、ユカタン半島の神話を元に、神秘的で美しいマヤの水源に潜ります。溝口尚美監督の『Ainu | ひと』では北海道のアイヌ民族のアイデンティティを保ち文化を伝承する活動をカメラに捉えました。森達也監督の『i －新聞記者ドキュメント－』ではジャーナリズムを厳しく問う新聞記者、望月衣塑子氏の日常を追っています。望月記者は、三つのアカデミー賞を受賞した藤井道人監督の『新聞記者』でもモデルとなっています。
映画プログラムに加えて、Chantal Bertalanffy氏(エジンバラ大学)による日本映画における女性の役割についてのオンライン講演、ジャーナリストMaggie Lee氏 (Variety)による司会で日本の女性監督を交えてのパネルディスカッションがライブ配信されます。

ニッポン・コネクテッド

様々な映画作品の上映に加え「ニッポン・コネクテッド」部門では、幅広いデジタルでの催し物を予定しています。バーチャルでのワークショップ、講演、コンサートやパフォーマンスを通して、映画祭期間中にご自宅から日本文化を体験することができます。ロンドンのウェストエンドやニューヨークのオフ・ブロードウェイに定期的に出演する落語家／コメディアン桂三輝によるパフォーマンス、茶人ヴィースホイ小野由美子氏によるお茶のワークショップ等が開催されます。デジタル版で行われる２０周年記念を迎える映画祭も素晴らしい盛り上がりを見せるでしょう。映画専門家 Jörg Buttgereit氏が、「ニッポン・ホームシネマ～アットホーム版」でサプライズ日本映画を生配信でコメントします。そして、大人気のカラオケもオンライン版で開催されます。

ニッポン・キッズ

映画祭に参加される小さなお客様も、ニッポン・コネクション・オンライン版の開催中にお楽しみいただけます。オンラインで行われるワークショップでは、漫画家のKatharina Sato氏、可愛い動物の漫画での描き方をご紹介します。さらに、語り手のWalburga Kliem氏が紙芝居で日本のおとぎ話を発表します。そして、Lina Zivanovic氏はカラフルなお団子を作るオンライン料理教室を開催します。また子供向けの日本のアニメ映画をドイツ語吹き替え版で提供します。

映画祭について

日本映画祭「ニッポン・コネクション」は約70人の主にボランティアチームから成る公益法人「ニッポン・コネクション」により運営されています。また、フランクフルト市長ペーター・フェルトマン氏及びヘッセン州化学芸術大臣アンゲラ・ドルン氏にご後援いただいております。